私は電車、特に満員電車が嫌いだ

以前dotさんから紹介してもらった新書を読んでみました。

満員電車がなくなる日―鉄道イノベーションが日本を救う (角川SSC新書 29)

期待していたんですが、・・・(雑な主張だなぁ)というのが感想でした。著者はJRに17年勤めたということなんですが、少なくとも次の2点について考えが足りていないと思います。

  1. 数百万人の人間の「毎日の行動を変える」ことの難しさ
  2. 組織に蓄積された技術とは全く別のシステムを作り、運用することの難しさ

著者の主張を思いっきり短絡して言うと、「鉄道会社は座席の値付けを柔軟にする。そうやって得た利潤を設備投資にまわせ。最新の技術・システムや、運用の工夫をせよ」ということなのですが、上の2点についての検討が凄く弱いので、説得力がありません。

特に、安全面の配慮が足りないのが不満です。

ご本人は「関係者が気合い入れて取り組めば10年で出来る」と息巻いていらっしゃるが、数十年にわたって蓄積された、現行の鉄道技術を軽視していると言わざるを得ない。現在の稠密なダイヤと同等か、それ以上に過密化したダイヤを、全くの新規システムで運用するなんて、そんな恐ろしいことをやれるはずがありません。やれるかもしれないけど、人的被害が発生するリスクがあることは認識しないといけないはずです。著者にはその認識が無いのか、敢えて書いていないのか、本書には言及がありません。

期待が大きかっただけに、残念な感じであります。