本を読みたくなる一冊

まあ、僕の場合は、年がら年中、本を読んでいるので、この本を読んでも読まなくても、いつでも本が読みたいのでありますが。

そんな私でも、「ああ、本を読みたいぞ」と強く思わされる本でした。

いわゆる「読書の方法」を取り扱った本なのですが、類書とちょっと違うところがある。「読書の方法」には、大別して2つあると思うのですが、その両者の橋渡しをしているのですね。
2つのうち、近年多いのが、「いかにして効率的に情報を摂取し、整理するか」という、いわば「効率重視派」。ビジネス書にはこういうテーマの本が多いですね。
もう1つは、「読書によっていかに人格を高め、人生を価値あるものにするか」という、いわば「人格涵養派」。最近はちょっと旗色が悪いようです。
本書は、哲学・思想の本(難解本)を対象にしており、読み終わると、世の中の見方が変わり、自身がレベルアップしたように感じるような読書を目指している点で、人格涵養派に寄っています。
しかしながら、「読書に使える時間もお金も手間も問題意識も、限りがある」と前提している点で、「効率重視派」と共通します。
人生を開き、人格を涵養するような優れた名著を、いかにうまく読むか(挫折せずに読みきるか)を扱っているわけです。

著者の、「読書という行為」への愛があふれていて、とても良い本です。