こじんまりした定食屋

僕がこじんまりした定食屋を、奥さんと一緒にやっていたとしましょう。

そこそこ繁盛して、固定客がついていて、人も1人、2人雇えるくらいには繁盛している、とします。

 

そこへ、ある日、お客がやってきて言うわけです。

「青山で食べた高級フレンチ。あれ、作ってくれ」

聞けばフランスの三ツ星店で修業した、名の知れたシェフの店だとか。

「いや、うちは定食屋ですよ」

「なんで作れないの?包丁も鍋も釜もガス台もあるのに?なんで?」

 

定食屋のオヤジだったら、「いや、俺フレンチの修行してないし」「ここは定食屋で、焼き肉定食なら作れるけど」って言い訳ができる。「あんたうちの客にならなくていいから出ていってもいいよ」とだって言えるかもしれない。

たぶん、この客について、変なのが来た、といっても誰も文句は言わないでしょう。

 

こういう変な客がいないとは限りません。何しろ、日本中、ちょっと頑張れば、最高級の料理は体験できますからね。

 

意味のよく分からない長い話を書いてしまったけど、世の多くのシステムエンジニアが今、定食屋のオヤジであるところの、僕みたいな目にあってるんじゃないか。

 

素晴らしいアプリケーション、かっこいいアプリケーションを、きわめて安い対価で入手できる。場合によっちゃ、無料ですよ。高級フレンチは高価なのに、こっちは安いです。

 

そういうアプリを体験した客が、SEに向かって言うわけです、「ああいうカッコいいの作ってくれ。格安で。できるでしょ?エンジニアなんだから」

 

今のところ、システムエンジニアには、「うちは定食屋なんで」に該当するような、いい返事が無いのかもしれないな、と思うのです。