自在感

あの若者は、社内でだれかれとなく声をかけ、人によっては愛称で呼びかける。個人の業績は好調、社内結婚のパートナーとの間に子も産まれ、いわゆる「公私ともに順調」。
彼はいかにも「自在」に生きている。もちろん悩みもあるだろうけど、たぶんかなり「自在感」を感じてるんじゃないか?

彼の自在感を想像するとき、うらやましさもあるけれど、僕は「退屈なんじゃない?」という疑問を持ってしまう。「もうここでやることは無いんじゃない?」「他のことをはじめてみたら?」なんて思う。

また、「気が抜けて、つまづかないといいねえ」なんてことも思う。悲観的なのか皮肉屋なのか、どちらにしても愉快な想像ではないけれども、「もう一回、地に足を付けてみたらどうだい」と言いたくなってしまう。

もちろん言わないけどね。いらんことをなるべく言わないで済ませられるようになって、歳をとって良かったなあと思う。彼は今、自身のことをどう見ているんだろうか。