映画『ゴジラ』(ネタバレはしないように書きますが、先入観は与えてしまうかも)

ゴジラがデカかった。そしてちゃんとゴジラのかたちをしていました。変な恐竜もどきでなく。エラがトンガっていて、しっぽが重たそうでした。そのしっぽをブンブン振り回して敵怪獣をやっつけました!青い放射能火炎もバー!バー!!ババー!!!ってなもんですよ。いや凄かった!

楽しく見終わったのですが、帰路、あれこれ振り返ってみると、・・・前のハリウッド版がイマイチ過ぎて、今回がよく見えているんじゃなかろうか、という感じがしてきました。

なんというか、つまらない言い方になりますけど、テーマ性が無いんですよね。娯楽映画なので、そんな大それたもんはいらんのかもしれませんけど。それでも、最初のゴジラ、平成ゴジラの第一作、このへんには、感じるものがありました。

ま、テーマ性というか、ちょっとウェットな、語り、感想、という程度のものかもしれません。

 

人間の悪意が、まわりまわって、(ゴジラというかたちをとって)大量破壊を生み出す、恐怖。

ゴジラを生んだ悪意、科学と同質の、人間の攻撃性によって、ゴジラを打ち倒そうとする人間。あえなく敗れる人間。

敗れる様を見た、無力な人間の、絶望。

それでも立ち上がって、人間の知恵を発揮して、ゴジラを倒す。希望。

 

こういう、ちょっとウェットな語りが入る余地が、ほとんど無いんですよね、今作は。

 

敵役のムートーも、それを倒すゴジラも、小さな人間を超越していて、人間とは関わりの無い世界で戦い、倒し・倒され、どこかに帰っていく。

一方で主人公の戦いはなんともしょぼい。人間側が勝手に失敗したのを、主人公がおとしまえを付けに行くのです。怪獣と関係無くなってるじゃん!(いちおう思い出したように怪獣とも戦うんですけど・・・)

 

2時間の長さを感じさせない、飽きさせない娯楽作でしたが、ぜひもっと良い物を!と思ったような次第であります。