新しいビジネスコンセプト"ABC"

ある日、若いコンサルタントが仕事をしていた。気が付けばもう0時をまわっている。オフィスをぐるりと見回すと、上級コンサルタントがいた。見ると、彼は分厚い本を手に、深く悩んでいる様子である。
「おつかれさまです。お仕事ですか?」
「その質問はいい質問であり悪い質問だ。深夜に会社にいる時点で、仕事であるのは確実だが、あえて確認するのはいいことだ。もしかしたら違うかもしれないからね。しかし、ひとこと『私にお手伝いできることはありますか?』と付け加えられたら、なお良かった。顧客のココロをつかんだことだろう」
「はあ、なるほど」これ以上仕事をふられても困ると思いながら若いコンサルタントは応じた。相手の当惑の表情は無視して、上級コンサルタントは続ける。
「ところで、"B"ではじまって、『顧客』に関係する英単語を知らないか?」
「え?仕事じゃなくて、英語クロスワードでもやっているんですか?」
「違う。今度、我が社から"ABC"という、顧客管理に関する新しいビジネスコンセプトを発表しようとしているんだ。そこで、"ABC"の意味を決めないといけないんだ。そういえば君は、MBAを取るためにアメリカに留学していたな。その英語力を生かしてくれ」
コンサルティング業界が発表するコンセプトなどそんなものであるし、MBAなどそうやって使われるのである。
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*1:この話はフィクションです