黒魔術か疫病のように思われているけれども

ふと「P2Pってどんなもんだろう?」と思って手にとってみたのですが、思いのほか面白いので紹介してみます。

Winnyの技術

おなじみWinnyについて、作者みずからその機能と設計思想を明かしています。
P2Pネットワークによるファイル共有アプリケーションの設計の変遷についても触れられており、P2P技術に関心があるが、基礎知識を持たない人にはかなり面白く読めると思います。私がそうだったですし。
読者は、TCP/IPやクライアント/サーバモデルについて、基礎的な知識(概念的な知識でも十分)を持っていることが想定されているようです。逆に言うと、C++ソースコードが列挙されるわけではなく、Winnyをハックしてやろう、という人の参考書にはなりません。
TCP/IPネットワーク上に、いかに既存のアイデアが応用されて、P2Pアプリケーションが作られているかを知ることができる本です。かなり面白いのでお奨めですね。

また、詳しく述べられているわけではありませんが、開発の意図が「アイデアの技術的な検証」であったことが示されています。もしかすると裁判対策なのかもしれないので、うっかりしたことを言うのは憚られますが。