「私は政治的に中立なんだけども」と言いながら

「私は政治的に中立なんだけども」と言いながら、

 

「政治家の給料は減らすべき。赤字なんだから」と言い放つ人がいますね。そういう人は、その意見が十分に政治的である、ということに自覚が無いんだと思うんです。本人としては、「私は経済的合理性に立って判断しているのだ」というつもりなんでしょうけど。

 

でも、「経済的合理性を優先する」というのは十分に政治的です。政治的合理性を優先する考え方もあるわけですから。私などは、多少の経済的損失があるにしても、一票の格差を解消するために、議員を増やすべき、議員の活動を活性化するために、歳費を増やすべき、と思っています。ですから、「政治家の給料は減らすべき。赤字なんだから」という意見には結構(本音をいうと、真っ向から)反対です。だから、彼・彼女の意見は、中立的だとは思えません。

 

それにしても、「私は政治的に中立なんだけども」という枕詞を付ける人、特にいい歳になってそれを言う人というのは、政治的な問題と無縁で来た人なんでしょうか?会社の中でも、家庭の中でも、仲間うちでも、限られた資源を巡って、意思決定するために、政治的なやりとりをするものだと思います。その場合、うかうかと「私は中立です」なんて言えませんよね。中立なんて立場はそうそう有りませんから。少なくとも、そういう言い回しには慎重になる習慣が身につくはずだと思うのですが・・・

 

自分の見聞の範囲でいうと、技術に通じた人、理系的に考える人ほど、そういう言い回しをする気がします(気のせいかもしれませんが)。「何事にも技術的な解決策が存在する」あるいは「何事にも優先順位がつけられる」という確信は、優れた技術者が持つ思考の特徴だと思いますが、あんまり広範囲にそういう考えを適用するのは、かえって非合理だと思う次第です。