大人のための文章教室

谷崎潤一郎はじめ、『文章読本』と題する本は数々ありますが、この本は、大人のための文章教室 (講談社現代新書)「文章教室」をうたっています。
著者が、子供向けの文章教室を主宰しているのは知っていたので、「今度は大人向けかいな」と思って手に取ったのですが、面白かったですよ。
なんといっても、読み物としてちゃんと面白くしよう、というところがえらい。いわゆる「文章読本」が、名文のカタログみたいになって、時に堅苦しく退屈な感じになっているのに対し、著者本人が身近な文例を作って、軽妙な語り口で注意点を示しているのです。司馬遼太郎パスティーシュを作る方法を解説している箇所なんか出色です。
「書いてあること」自体は一般的なものもありますし、項目が少なすぎるという感じも否めないのですが、楽しくサクサク読めるということで、大いにお勧めできます。